なぜか彼氏が2人できちゃいました……。
「美緒、話がある」
その日の放課後、通学用のリュックに教科書を雑につめこんで帰る準備をしていたら岳が話しかけてきた。
「話すことなんてない」
思い切り不機嫌そうに言って横を向いた。
「頼む……」
呻くように懇願する彼を見れば真剣な雰囲気がただよっていて。
端正な顔は辛そうに曇っている。
思わずほだされそうになるけど、グッとこらえた。
「わ、私、急いでるから」
リュックを背負うと、彼の方を見ないようにしてそそくさとドアの方へ歩き出した。
すると、彼は黙ったまま私の後をついてくる。
生徒玄関までたどり着いて外靴に履き替えながらチラチラ振り返る。
まだいる……。
どこまで着いてくるつもりなんだろう。
履き替え終わって歩き出そうとしたその時。
「美緒、付き合ってくれ」