なぜか彼氏が2人できちゃいました……。
空くんにそう言われた私は岳の方をちらっとうかがう。


彼は私と目が合うとすぐにそらせてしまい何を考えているのかわからなかった。


私はスゥッと息を吸いこんだ。


「いいよ付き合おうじゃない、2人と。その代わりもう私のことで喧嘩はやめてよね」
 

ヤケクソっぽく応じたら空くんが飛び上がった。


「ほんとに?やった」


「……」


喜ぶ空くんとは対照的に岳は憮然としている。


私は無意識にため息が漏れた。


なんだか、もう今日はグッタリ疲れ果てていたんだ。


ここで断ったらまた彼らが揉め出したりしないか不安だし、とにかく今日はもう解放して欲しい。


いきなり双子だとか好きだとか付き合えとか殴り合いの大喧嘩とか、もうこっちはキャパオーバーだっつーの。


もう完全に思考停止、今日はこれ以上なんにも考えたくない。


「じゃあ私帰るね、バイバイ」


それから泥のように重い体を引きずりながら1人で帰って行ったんだ。
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