なぜか彼氏が2人できちゃいました……。
「ふざけんな。おまえの一生のお願いは聞き飽きてんだよ」


「あの、岳」


彼がこんなに感情的になるなんて思わなくてどうしたらいいかわからない。
 

「おまえら勝手にしろよ。もう俺は降りるから」


「あ……」


岳は私たちに背中を向けて一人で早足で歩きだした。


待って、行かないで岳。どうしてわかってくれないの?こんなの嫌だよ。


「美緒、大丈夫?顔色が悪いよ」


「ううん、平気平気。なによ岳のやつ、あんなに怒鳴ることないのに。もう岳なんてほっとこう」


動揺しているのを悟られたくなくて笑顔を作った。


「岳なんて嫌い……」


岳が悪いんだもん、人の気持ちを知ろうともしないで頭ごなしに怒っちゃって。


岳が悪いんだから。


ううん違う、本当はわかってた。


でも私のほうがもっと悪いんだって。
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