なぜか彼氏が2人できちゃいました……。
「そんなに兄貴に会いたく無い?」


「そんなんじゃ無いけど、今はまだ気まずいし」


「ああ、もう大丈夫だよ。怒ってないみたいだから」


「……」


「あ、そうそうそれと」


彼は思い出したようにクッと笑う。


「美緒のことは俺に任せるってさ。大切にしなきゃダメだぞって偉そうに言われたよ。
もともと美緒は兄貴のものってわけじゃ無いのにね」


岳がそんなことを空くんに話していたんだ。


一瞬、胸の奥にサクッと何かが刺さったような気がした。


「どうかした?」


彼に上から覗きこまれて、首を横に振った。


「なんでもない」


ワンワンワン。


その時、遠くから犬の鳴き声がしたからびっくりして立ち上がった。


「ごめん、空くん、私もう帰るね。バイバイ」


私はその場から逃げるように駆け出して公園を後にした。
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