なぜか彼氏が2人できちゃいました……。
その時、彼が床に置いてあるものをとろうと身をかがめたみたいで、私の両手は虚しく空を切り体ごと前のめりに倒れた。


「きゃっ」


「おわっ……」


私は彼の背中にダイブしてしまい、後ろから抱きつくような形になっちゃって焦った。


「え、美緒?」


顔だけこちらに向けた彼は驚いたように目を見開いた。


「あっ、あはっ、失敗失敗、ちょっと驚かせようと」


「驚かせようとして抱きついたの?」


私が最後まで言い終わらないうちに、彼はそう言ってニッと笑う。


「へぇ、そうなんだ、わかった」


「え?」


「いきなりでびっくりしたけど、嬉しいよ美緒」

   
彼はくるりと身を翻して、私の腕を引っ張る。


「嬉しいってどうして?」


そんな私の疑問ごと、彼の逞しい身体に一瞬で抱きすくめられた。


わ、近い、近すぎる。


途端に心臓がドクンと鳴った。


「あ……」

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