王太子殿下と婚約していますが、卒業パーティーで破棄するつもりです(※伯爵令嬢にすぎない私から)
ひと目見て、思わずのけ反った!
「新品をと思っていたんだけれど、母上とも相談して王妃に代々受け継がれているこれを……」
「お、お、王妃!?」
「あっ、でも母上が『これはモチーフが花で可愛らしいから若い子に似合う』って。実際母上も王太子妃だった頃に譲り受けたそうなんだ」
「お、お、王太子妃!?」
「お互いの家族だけしか知らないとはいえ、僕らは婚約しているよ。それに近々公表もする」
「そうですが……」
さすがに卒業パーティーの3日前だ。
私はかろうじて僅かに繋がっている希望に縋りついてはいたものの、その一方で無理かもしれないという不安に常に付き纏われるようになっていた。