王太子殿下と婚約していますが、卒業パーティーで破棄するつもりです(※伯爵令嬢にすぎない私から)
よくいえば自然豊かで素朴な風景が広がる(正直にいえばど田舎な)アルナルディ領を出て、王都にある王立学園に入学したのは13歳のとき。
私は伯爵令嬢ではあったものの、それまで自然に囲まれた領地でのびのびと育てられてきた。
だから、全ての所作が洗練されている学友たちに衝撃を受けた。同じ制服を着ているはずなのに、どこかオシャレに見えた。
その中でも、ひと際目を引いたのがセルジュ殿下だった。佇まいそのものが優雅で品があった。
(本物の王子様が身近にいる!)
王太子殿下と同級生という幸運に、私もほかの生徒同様浮き足だった。
そして、モブの女子生徒よろしく、殿下の一挙手一投足に目を奪われ、胸をときめかせた。
殿下は誰に対しても分け隔てなく、気さくに声をかけてくれた(垢抜けない私にも!)。
私は、優しさと真面目さが調和したその内面にも惹かれた。
殿下と親しくなるにつれ、ファンとしてますます夢中になっていったのだった。