王太子殿下と婚約していますが、卒業パーティーで破棄するつもりです(※伯爵令嬢にすぎない私から)

「ま……」

 言いかけた私をセルジュ殿下が優しく抱きしめた。

「言わなくていい。それは前回、3回目に君から婚約破棄を言い渡されたときに聞いた」

 私は背中を思いっきりのけ反らせ、殿下の顔を見た。

「な、何を言って……」

「愛する君から3回も婚約を破棄される僕の気持ちも少しは考えてくれないか? どれほど傷ついたことか。もうズタズタだよ。4回目は耐えられる気がしない」

「言っている意味が分かりませーん!」

 私は叫んだ。

 これから婚約破棄をするのだと思うと胸が張り裂けそうだった。

(それなのに、すでに3回も婚約破棄をした? 私から?)

 そんなはずがない。

 だというのに、セルジュ殿下は至って真剣な目をしている。
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