王太子殿下と婚約していますが、卒業パーティーで破棄するつもりです(※伯爵令嬢にすぎない私から)

「だから母上に頼み込んで、ドレスを贈る直前に時間を巻き戻してもらったというのに……」

(時間を……巻き戻した……? んんん?)

「クロエの希望を最大限尊重したはずだよね? それなのに2度目も制服で現れて、僕の瞳の色に合わせて特注したネックレスも突っ返して!」

(特注したネックレス? 何それ……)

 そんなものを受け取った記憶はどこにもない。

「2度目はアルナルディ領まで君を探しにいった。だけど君どころか、伯爵夫妻すら見つからなかった。後日、伯爵から領地と爵位返還を申し出る書状が届いたよ。だけど、いつ誰がそんなことを望んだ? 僕は君が翻意した理由を知りたかったのに、話も聞かせてもらえず一家でとんずら! どうなっているんだい、アルナルディ伯爵家は!?」

 セルジュ殿下は肩で息をしている。
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