王太子殿下と婚約していますが、卒業パーティーで破棄するつもりです(※伯爵令嬢にすぎない私から)
「母上は『こうなったら正攻法で真っ向から気持ち伝えて、本気度を示しなさい』って。それから、王家のネックレスを僕に託してくれて、時間を戻してくれた。だから、僕は僕の愛を真摯に伝えたはずだった……」
(それがあの殿下らしからぬ情熱的なキス……)
知らず私の顔は赤くなった。
「それなのに3度目制服姿の君を目にしたときの絶望感といったら!」
(それは、こっちにはこっちでのっぴきならない事情があったからで……)
それでもたしかに殿下の気持ちは十分過ぎるほど伝わった。
だからこそ、私も胸が痛かったのだ。
「3度目は、卒業パーティーの会場を王宮近衛軍が警備という名の下、君を逃がさないように包囲していた。それなのに、またしても君は婚約破棄だけ済ますと、まんまと逃げだしてくれたね?」
(そんな未来の話されても、私は知りません!)
「けれど、包囲網が功を奏した。ようやく婚約破棄の理由が分かったんだから」
私は目を見張った。