王太子殿下と婚約していますが、卒業パーティーで破棄するつもりです(※伯爵令嬢にすぎない私から)
2. 出発前の決意
メイドのルイーズが、伏し目がちに私のリボンタイを結びながら嘆息した。
「お嬢様、本当によろしいんですか?」
ちっともよろしくはなかった。
(でも仕方がないじゃない)
ひと晩泣いた私は、自棄っぱちになっていた。
だから、努めて軽く答えた。
「いいの。学園の制服を着られるのも、これが最後になるのよ?」
「ですが、何も卒業パーティーにまで着ていかなくても……」
「私だけじゃないから」
嘘ではない。
卒業パーティーに『制服で参加する予定』だと聞いている学友が何人かいる。
ただし、奨学金で学園に通っていた子たちだけれど。
私のような貴族、それも末席とはいえ一応高位貴族に入る伯爵家の令嬢が、となると前代未聞だろう。
それでも、婚約者であるセルジュ殿下から贈られたドレスを着用するわけにはいかない。
だって私は今日という日に、セルジュ殿下との婚約を破棄するつもりなのだから──
「お嬢様、本当によろしいんですか?」
ちっともよろしくはなかった。
(でも仕方がないじゃない)
ひと晩泣いた私は、自棄っぱちになっていた。
だから、努めて軽く答えた。
「いいの。学園の制服を着られるのも、これが最後になるのよ?」
「ですが、何も卒業パーティーにまで着ていかなくても……」
「私だけじゃないから」
嘘ではない。
卒業パーティーに『制服で参加する予定』だと聞いている学友が何人かいる。
ただし、奨学金で学園に通っていた子たちだけれど。
私のような貴族、それも末席とはいえ一応高位貴族に入る伯爵家の令嬢が、となると前代未聞だろう。
それでも、婚約者であるセルジュ殿下から贈られたドレスを着用するわけにはいかない。
だって私は今日という日に、セルジュ殿下との婚約を破棄するつもりなのだから──