王太子殿下と婚約していますが、卒業パーティーで破棄するつもりです(※伯爵令嬢にすぎない私から)
そうすることで、卒業後は婚約なりをする用意があることを同級生に知らせるのだ。
まだはっきりとは話せないけれど、同じ学び舎で過ごした学友たちにはひと足先に打ち明けたい。そんな思いから始まった伝統なのだと思う。
「だから一緒に相談して衣装を決めるのはどうかな?」
その提案は私をさらに喜ばせた。
「とても素敵なアイデアだと思います!」
あの頃は大きく不安に思ってはいたけれど、まだ何とかなるはずだと信じてもいた。
(お父様もお母様も領地で探し回ってくれているんだもの。きっと方策はある……)
それから1週間と経たないうちに、私は放課後王宮に呼ばれ、デザイナーさん(もちろん超一流の!)を交えての打合せに参加した。
そうして殿下と私は、控えめに対となっているスーツとドレスを決定したのだった──