不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?
「……もちろん、あの二人に関しては裁かれる必要があるとは思っています。ヴォルダン伯爵令息には申し訳ないことをしたとは思っていますが、それで容赦や情けをかけるつもりはありません」
「それは……」

 マグナード様は、鋭い目をしていた。
 彼は、敵と認識した人には容赦しない。ヴォルダン伯爵令息やムドラス伯爵令息は、彼とブライト殿下の権力によって、潰されることになるのだろう。

「しかし、自省はします。それは必要なことであると思っています」
「そうですか……」

 結局の所、マグナード様の憂いは彼が自分で納得するまで解決しない。
 私やミレリア嬢の考えは伝えた訳ではあるし、今はそれでいいとしよう。
 これから私にできることは、彼と今まで通りに接することだ。そうやって日常を過ごして、彼の心を癒していくとしよう。
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