不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?
「おはようございます、イルリア嬢」
「お、おはようございます、マグナード様……」

 ミレリア嬢と寮で色々と話した翌日、私は登校していた。
 登校すると、いつも通りにマグナード様が挨拶してくれる。事件の後は反省していたのか、少し元気がなかった彼も、今はすっかり以前のように戻っている。
 それはとても喜ばしいことではあるのだが、今の私は彼の顔をまともに見られなくなっていた。原因はわかっている。ミレリア嬢が、色々と余計なことを言ってくれたおかげだ。

「どうかされましたか? なんだか、変ですね?」
「え? そ、そうでしょうか?」

 挙動不審だったからなのか、マグナード様は私の様子を指摘してきた。
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