不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?
 基本的に、彼は聡い人である。だからこそ、昨日のことを引きずりたくなかったのだが、一晩寝ても残念ながら落ち着くことはできなかった。

「ああそういえば、昨日はミレリア嬢を部屋に招いていたのでしたね? もしかして、それが原因なのでしょうか?」
「え? えっと、その、それは……」

 いくらマグナード様が聡い人だからといって、原因まで見抜かれているとは驚きだ。
 驚きすぎて、言葉が出て来ない。一体彼は、どこまで把握しているのだろうか。

「仲が良いことはいいことだとは思いますが、あまり夜更かしなどしてはいけませんよ。それで翌日に支障が出るというのは、良くありませんからね。ですから次は休みの前日などにお誘いしたらいかがでしょうか?」
「あ、はい。そうですね……」

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