不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?
 マグナード様の言葉に、私は安心していた。
 どうやら彼は、私が単に夜更かして疲れていると思ったらしい。ミレリア嬢と夜通しして話したとでも、思っているのだろうか。
 ただ実際の所、昨日は日が暮れる頃には別れていた。それ以上いると明日に支障が出るかもしれないと、ミレリア嬢が帰ったのだ。

「ミレリア嬢とは、楽しい時間を過ごすことができました」
「そうですか。それは何よりです。彼女はお元気ですか? 違うクラス故に、あまり顔を合わせませんから、実の所少し心配していたのです」
「ああ、それに関しては安心してください。とても元気でしたから」
「そうですか」

 私の言葉に、マグナード様は安心したように笑顔を浮かべていた。
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