不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?
 やはり彼も、先日の件で傷ついたミレリア嬢のことが、かなり心配だったのだろう。立場的に、彼女を直接訪ねることなどは、避けていたのかもしれない。
 ちなみに、そのミレリア嬢は元気が有り余っていたと思う。有り余っていなかったら、あんなに私を問い詰めてはこなかっただろうし。

「そういえば、もうすぐ長期休暇ですね?」
「え?」

 ミレリア嬢の話が一区切りついてから、マグナード様が問いかけてきた。
 マグナード様と話すことに関して緊張しているのもあるが、その内容に私は面食らっていた。そのことがすっかり頭から抜けていたからだ。

「あれ? そういえば、もうすぐ夏休みなのですか?」
「ええ、そうですね。期末のテストが終わったらそうですが」
「期末テスト……すっかり忘れていました」

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