不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?
「さてと、そんなことよりも重要なことがあります。今回の事件を起こしたロダルト様です」
「ロダルト様?」
「全てを思い出したことによって、私はわかりました。彼はお姉様に執着しているのだと」

 ついに過去のエムリーが完全に抑え込まれて、最近のエムリーが話を始めた。
 彼女の話は、中々に気になるものだ。これは聞いておく方がいいだろう。

「執着……覚えがない訳ではないわね」
「やはり、そうなのですか?」
「ええ、でも、あなたとの件があるまで、そんな感じではなかったのだけれどね……」
「ですが、彼は私との婚約の時にも、お姉様のことに触れていました。私と婚約したのもきっと、お姉様の気を引くためだったのではないかと思うのです。もっとも、それは今思えばそうだ、ということではありますが」
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