不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?
「まあ、そういうことなら僕にも責任の一端があります。ロダルト子爵令息を追い詰めたのは、他ならぬ僕ですからね」
「マグナード様……」
「とはいえ、彼に関して僕は対応を間違ったとは思っていません。彼の狂気を見抜けなかったことは、もちろん未熟だったとは思いますが……」

 私の側に立ちロダルト様と敵対したマグナード様も、気持ちは同じだったようだ。
 予想できるようなことだったかは微妙な所ではあるが、気にしないなんてことはできない。それが私やマグナード様の結論ということになるだろう。

「お二人は責任感が強いですからね。仕方ないことなのかもしれませんが……あまり気にしてはいけませんよ。大体、ムドラスやヴォルダン様なんて、こんな目に合って当然の人達ですからね」
「ミレリア嬢……」

 ミレリア嬢は、嫌らしい笑みを浮かべていた。
 あの二人に散々煮え湯を飲まされた彼女からしてみれば、今回の件もすっきりしたくらいにしか思っていないのかもしれない。
 もちろん、あの二人には私も思う所はある。しかし、それとこれとは話が別だと考えている。
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