不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?
私は、学校の裏庭での出来事を思い出していた。
あの時のムドラス伯爵令息は、いとも容易くブライト殿下に取り押さえられた。今思い出しても、みっともないくらいに弱かったのである。
「ムドラスからしてみれば、ロダルト子爵令息が誰かわからず、混乱していたということもあるでしょう。まあ、何にしても情けない弟です。普段はあれだけ息巻いているのに、いざとなったらこうなのですから」
「ミレリア嬢……」
「すみません。日頃からあれには色々と迷惑をかけられているので、つい……」
「いえ、構いませんよ。それに関しては、仕方ないことですから」
ミレリア嬢は、とても饒舌になっていた。
鬱憤が溜まっていた彼女にとって、ムドラス伯爵令息が襲われたということは、むしろ嬉しいことであるのだろう。
その笑顔を見ながら、私は苦笑いを浮かべるしかないのだった。
あの時のムドラス伯爵令息は、いとも容易くブライト殿下に取り押さえられた。今思い出しても、みっともないくらいに弱かったのである。
「ムドラスからしてみれば、ロダルト子爵令息が誰かわからず、混乱していたということもあるでしょう。まあ、何にしても情けない弟です。普段はあれだけ息巻いているのに、いざとなったらこうなのですから」
「ミレリア嬢……」
「すみません。日頃からあれには色々と迷惑をかけられているので、つい……」
「いえ、構いませんよ。それに関しては、仕方ないことですから」
ミレリア嬢は、とても饒舌になっていた。
鬱憤が溜まっていた彼女にとって、ムドラス伯爵令息が襲われたということは、むしろ嬉しいことであるのだろう。
その笑顔を見ながら、私は苦笑いを浮かべるしかないのだった。