不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?
 王国の犯罪などは、騎士団が取り締まっている。
 その騎士団も、流石に第二王子や公爵令息の要請は断れないようだ。少なくとも、人を刺した男とそのターゲットが対面できているのは、二人の影響があるからだろう。
 何はともあれ、私はロダルト様を訪ねていた。彼から、色々と聞いておきたいことがあったからだ。

「……」

 牢屋の中で拘束されているロダルト様は、そのままの状態でこちらに視線を向けてきた。
 その目には驚きがある。それは当然だ。彼の方も、私に会えるとは思っていなかっただろう。
 それからすぐに、ロダルト様は笑顔を浮かべた。私と会えたことを、喜んでくれているということだろうか。

「イルリア、来てくれたのか?」
「ええ、来ましたよ。それで喜ばれても、困りますが……」
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