不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?
「やはり君は、僕のことを見捨ててはいかなかった、ということか。ははっ、はははっ……」

 ロダルト様は、虚ろな目でそんなことを言ってきた。
 その様に、私は少し引いてしまう。なんというか、とても怖い笑みだったのだ。
 そんな私を見かねてか、マグナード様がこちらにやって来てくれた。彼は、私の顔を心配そうに見つめている。

「イルリア嬢、大丈夫――」
「お前はっ!」

 マグナード様の言葉は、ロダルト様の言葉によって遮られた。
 彼のその怒気を孕んだ大声に、周囲から騎士達が集まって来る。彼らは、ロダルト様のことをかなり警戒しているようだ。

「イルリアに近づくなあっ!」

 するとロダルト様が、また大きな声を上げ始めた。
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