不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?
 私の言葉に、マグナード様は同意してくれた。
 彼は、とても優しい人である。もしかしたら私以上に、ロダルト様と会うことに億劫になっているかもしれない。

「ただ、こちらも断固とした態度でいるしかないでしょう。こればかりは、仕方ありません。非常になりましょう。僕達は、貴族ですからね」
「そうですね……」

 マグナード様は、苦笑いを浮かべていた。
 自分で言いながらも、気は進んでいないのだろう。
 それでも、既に自体は刃を引き下げられない状況だ。覚悟を決めて、ロダルト様と対面するしかない。

「……それにしても、遅いですね?」
「え?」
「ロダルト子爵令息です。いつもなら彼は既に登校していると思いますが……」
「それはまあ、落ち込んでいるということではありませんか?」
「確かに、その可能性もありますね」
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