【ともだち母娘】ともだち母娘の最後のラブメモリー
ともだち母娘の最後のラブメモリー
時は、2015年7月7日の夜11時過ぎだった。
場所は、茅ヶ崎松ヶ丘《ちがさきまつがおか》の高台にある1戸建ての2階建ての新築の家にて…
アタシ・ゆかり(18歳・女子高生)が寝ている寝室にママ(36歳・専業主婦)の泣き声とパパ(48歳・市役所職員)の獣声が聞こえた。
「イヤ…イヤ…」
「ゆかこ(アタシのママ)…ゆかこ…ああ…ゆかこ…ほしい…」
「イヤ…イヤ…イヤァァァ…」
(ビリビリビリ…)
布が思い切り破れた音が部屋に聞こえた。
この日の夜は、ものすごくむし暑かったので寝付けなかった。
それから3ヶ月後の10月10日頃であった。
ところ変わって、鎌倉の鶴岡八幡宮の参道沿いにある豪華ホテルの結婚式場にて…
この日は、パパが勤務している職場で働いていた後輩の男性(31歳・豆腐屋さんのあととり)の挙式披露宴が執り行われた。
ママとパパがバイシャクニンを務めるので、アタシも出席した。
時は、結婚披露宴の前半が終わった頃であった。
カンパイの音頭のあと、みんなで料理長おまかせのランチメニューでお昼ごはんを食べていた。
この時、ママがごはんを食べる手を止めた。
心配になったアタシは、ママに声をかけた。
「ママ…どうしたのかな…」
「えっ?」
「ごはん、食べないの?」
「ああ…ちょっと…胃が…しくしくして…」
ママは、アタシにつらそうな声で言うたあと席を立った。
ところ変わって、館内にあるトイレにて…
(グハッ…ドボドボドボドボドボドボドボドボ…)
ママは、洋式便器の水溜まりにトシャブツを大量にはいた。
この時、ママの身体に異変が生じたと思う。
時は、10月16日のことであった。
この日、ママは病院に診察に行った。
ママは、医師から妊娠4ヶ月と診断された。
ところ変わって、家の居間にて…
赤色のマタニティ服を着ているママは、さみしい表情でアタシの帰りを待っていた。
この時、アタシが帰宅した。
アタシは、うれしい表情でママに声をかけた。
「ママ…ただいま…明日は、一緒に横浜へ遊びに行こうね…ママ…雑誌に載っていた話題のお店に行きたいと言ったわね…ママ…」
ママは、悲しげな表情で『ママ…行かない…』と言うたあと胎内に赤ちゃんができたことを伝えた。
「ゆかり…ママ…できた…のよ…」
「できた…できたって…」
ママは、悲しげな表情でうなずいた後にアタシに言うた。
「4ヶ月よ…ゆかりの妹か弟か…どちらかが…ママの胎内にいるの…」
「赤ちゃん…赤ちゃんができたって…」
「ごめんね…今まで言えなくてごめんね…」
「そんな…ママは…アタシのことがキライになったのね…ひどい!!」
ママが妊娠4ヶ月だと言うことを聞いたアタシは、ママにきらわれたと思い込んだ。
結局、アタシはカレ(37歳・経理事務)と一緒に横浜へデートに行くことになった。
10月17日の午後1時すぎであった。
ところ変わっては、横浜パシフィコの近くにある豪華ホテルの展望レストランにて…
アタシとカレ・ひろゆきは、料理長おまかせのランチメニューでランチを摂りながらお話をしていた。
「ニンシン…ゆかり…もしかして…オレの子供ができたのか!?」
「アタシじゃなくて、ママよぉ…」
「なーんだ…びっくりしたよ…オレ、ゆかりがニンシンしたのかと思ったからびっくりしたよ…」
「ごめんね…」
「それよりも、ゆかりのママが妊娠に気づいたのはいつ?」
「いつって…2ヶ月前からよ。」
「2ヶ月前から…」
「うん…ママ…ごはんを残す時が多かった…その上に…悲しい表情を見せる時が多かった…アタシ…ママにきらわれたと思った…」
「ママにきらわれた?」
「うん…」
「ゆかりのママがゆかりを出産したのは…ゆかりくらいの年齢《とき》だったね…」
「うん。」
「ともだち母娘だったのだね…」
「うん。」
カレは、ステーキを食べる手を止めたあとアタシに言うた。
「ゆかり…今日は、ゆかりに大切な話があるのだ…聞いてくれるかな?」
「大切なはなし?」
「ゆかり…ゆかりの高校卒業が確定したら…結婚しよう…」
「結婚…」
「ああ…ゆかりとオレが出会ったのは…オレが24で…ゆかりが5つだったな…ゆかりの両親が共稼ぎで…近くに遊び相手がいなかったので…オレが…遊び相手になった…ゆかりが11歳の時だったかな…オレを…ひとりの男として意識したのは…その時から結婚を前提としたお付き合いを始めた…ケンカしたこともあったけど…ゆかりはねばり強くオレを愛してくれた…ゆかり…高校の卒業式が終わったら…入籍しようか…」
「えっ?」
「オレ、来年の4月から…神戸の支店勤務を命ぜられたのだよ…その前に入籍しようと思っているのだよ…」
「えっ?」
「ゆかり、この際だからママとバイバイしようね。」
「ママとバイバイする。」
「そうだよ…ともだち母娘を卒業しようね。」
ともだち母娘は卒業…
ヤダ!!…
そんなのヤダ!!…
アタシ…
まだ、ママの娘でいたいもん…
カレは、もどかしい表情を浮かべているアタシに言うた。
「ゆかり…どうしたの…ゆかりはオレのお嫁さんになるのだろ…」
「うん…」
「オレのお嫁さんになるのだったら、ママとバイバイしなきゃ…明日から結婚準備を始めようね…」
カレに言われたアタシは、翌日から高校卒業に向けての勉強とママとバイバイするための準備に取り組んだ。
なので、ママと過ごす時間は1分もなかった。
同時にママも、出産準備のために細々と動いた。
2015年12月10日頃であった。
二学期末の期末試験が終わった。
この時点で、卒業に必要な単位を多く得ることができた。
2016年1月29日に、学年末試験が終わった。
この時点でアタシの高校卒業が確定した。
アタシは、カレと入籍をすることを決意した。
時は流れて…
2016年2月14日のことであった。
ところ変わって、横浜パシフィコの近くにある豪華ホテルの展望レストランにて…
アタシとママとカレは、ながめのいい席にいた。
カレは、デジカメでアタシとママの思い出の写真撮影をした。
「ママ、いい顔をして…」
「ゆかり…ママ恥ずかしいよぉ…」
「ママ、一緒に楽しもうよぉ…」
その後、3人で料理長おまかせのランチメニューでランチを摂った。
ランチを摂ったあと、3人で今後のことについて話し合った。
カレは、ママに対してアタシが高校の卒業式を終えたあと入籍すると伝えた。
知らせを聞いたママは、悲しい表情を浮かべた。
カレは、心配そうな声で言うた。
「お母さま…お母さま…」
「ああ…ひろゆきさん…」
「どうかなさいましたか?」
「ああ、なんでもないわよ…ちょっと…つかれただけよ。」
「そうでしたか…」
ママは、アタシが高校を卒業したあとカレと入籍することを聞いたので、気持ちがひどく動揺した。
その日の夜であった。
ママとアタシは、家のダイニングキッチンのテーブルにいた。
ママは、アタシが高校卒業後は短大に進学すると思っていたが、カレとアタシが結婚すると聞いたのでがっかりした。
アタシは、ママに対して申し訳ない声で言うた。
「ママ…ごめんなさい…本当にごめんなさい…」
ママは、怒った声でアタシに言うた。
「ゆかり…あんたはなにを考えているのよ!!」
「だからごめんなさい…」
アタシは、改めてママにカレと結婚する意思があることを伝えた。
ママは、より悲しい表情でアタシに言うた。
「ゆかりの気持ちはよくわかるわよ…ママの胎内に赤ちゃんがいる…赤ちゃんが生まれたら…ママはゆかりの元を離れる…ママは…ゆかりをひとりぼっちにしたくないから…」
「イヤ!!アタシは待つことができない!!」
「ゆかり〜」
アタシは、怒った声でママに言うた。
「ママは、アタシに何歳まで待てと言うのよ!?アタシが30歳になったら、カレは49になるのよ!!」
「ゆかり!!」
「そう言うママは、何で18で結婚したのよ!?」
「何でって…さみしかったからパパと結婚したのよ!!ママは、家の中に居場所がなかったのよ…ゆかりは、20代のうちは楽しい時間を過ごしてほしいの…早くに結婚したら、毎日がまんの日々がつづくのよ!!」
アタシは、目を真っ赤にした表情でママに言うた。
「ママの言うことが理解できない…ママは家庭内に居場所がなかったからパパと結婚したのね…それじゃあ、パパの気持ちはどうでもよかったと言うのね!!もういいわよ!!ママなんか大キライ!!」
アタシは、ママを怒鳴りつけたあとダイニングから出た。
「くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」
アタシに怒鳴られたママは、テーブルに顔を伏せた状態でくすんくすんと泣いた。
あの一件以降、アタシとママの関係が気まずくなった。
それでもアタシは、カレと結婚する意思を変えなかった。
そして、3月1日…
高校の卒業式を迎えた。
パパは仕事を理由に卒業式に出席しなかった…
ママも、出席しなかった…
卒業式は、アタシひとりで出席をすることになった。
卒業式を終えたあと、アタシはさみしい表情で学校の正門をくぐった。
そんな時であった。
カレがアタシを迎えに来た。
カレは、アタシを車に乗せた後市役所へ向かった。
アタシとカレは、婚姻届を提出した。
これで正式に夫婦になった…
その後、カレはアタシを連れて茅ヶ崎市内《しない》にある教会へ向かった。
カレはアタシに対して『母娘《おやこ》がギクシャクしたまま結婚するのはよくない…』と言うた。
カレは、アタシとママの最後の思い出づくりをするためにアレコレと準備を整えた。
ところ変わって、茅ヶ崎市内《しない》にある小さな教会にて…
教会のチャペルに、アタシとママがいた。
改めてアタシはカレと結婚することを伝えた。
純白のウェディングドレス姿のアタシとバナナ色のながそでにココナツ色のマタニティ服を着ているママは、話し合いをした。
「ママ…ごめんね…ごめんね…ママ…」
「ゆかり…本当にお嫁に行くのね…」
「うん…」
ママは、さみしそうな表情でアタシに言うた。
「ママ…赤ちゃんを産むわ…赤ちゃんを産んで…がんばって育てるわ…」
「ママ…」
「ママ…今日で…ともだち母娘は卒業するわ…ゆかりはママの元から旅だって…ひろゆきさんの元へ行く…ママも…赤ちゃんを産んで…がんばって、育てるわ。」
ママの言葉を聞いたアタシは、涙を流しながらママに伝えた。
「ママ…今までアタシを育ててくれて…ありがとう…アタシ…ママの娘に生まれてよかったわ…ママと過ごして来たともだち母娘の時間が終わっても…ママの娘でいたいの…」
「もちろんよ…遠く離れていても…ゆかりはママの娘よ…」
アタシとママは、ワーワーと泣いた。
(カランカランカランカラン…)
アタシとカレの結婚式が始まった。
こうして、アタシとママのともだち母娘の日々が終わった。
【これでおしまい】
場所は、茅ヶ崎松ヶ丘《ちがさきまつがおか》の高台にある1戸建ての2階建ての新築の家にて…
アタシ・ゆかり(18歳・女子高生)が寝ている寝室にママ(36歳・専業主婦)の泣き声とパパ(48歳・市役所職員)の獣声が聞こえた。
「イヤ…イヤ…」
「ゆかこ(アタシのママ)…ゆかこ…ああ…ゆかこ…ほしい…」
「イヤ…イヤ…イヤァァァ…」
(ビリビリビリ…)
布が思い切り破れた音が部屋に聞こえた。
この日の夜は、ものすごくむし暑かったので寝付けなかった。
それから3ヶ月後の10月10日頃であった。
ところ変わって、鎌倉の鶴岡八幡宮の参道沿いにある豪華ホテルの結婚式場にて…
この日は、パパが勤務している職場で働いていた後輩の男性(31歳・豆腐屋さんのあととり)の挙式披露宴が執り行われた。
ママとパパがバイシャクニンを務めるので、アタシも出席した。
時は、結婚披露宴の前半が終わった頃であった。
カンパイの音頭のあと、みんなで料理長おまかせのランチメニューでお昼ごはんを食べていた。
この時、ママがごはんを食べる手を止めた。
心配になったアタシは、ママに声をかけた。
「ママ…どうしたのかな…」
「えっ?」
「ごはん、食べないの?」
「ああ…ちょっと…胃が…しくしくして…」
ママは、アタシにつらそうな声で言うたあと席を立った。
ところ変わって、館内にあるトイレにて…
(グハッ…ドボドボドボドボドボドボドボドボ…)
ママは、洋式便器の水溜まりにトシャブツを大量にはいた。
この時、ママの身体に異変が生じたと思う。
時は、10月16日のことであった。
この日、ママは病院に診察に行った。
ママは、医師から妊娠4ヶ月と診断された。
ところ変わって、家の居間にて…
赤色のマタニティ服を着ているママは、さみしい表情でアタシの帰りを待っていた。
この時、アタシが帰宅した。
アタシは、うれしい表情でママに声をかけた。
「ママ…ただいま…明日は、一緒に横浜へ遊びに行こうね…ママ…雑誌に載っていた話題のお店に行きたいと言ったわね…ママ…」
ママは、悲しげな表情で『ママ…行かない…』と言うたあと胎内に赤ちゃんができたことを伝えた。
「ゆかり…ママ…できた…のよ…」
「できた…できたって…」
ママは、悲しげな表情でうなずいた後にアタシに言うた。
「4ヶ月よ…ゆかりの妹か弟か…どちらかが…ママの胎内にいるの…」
「赤ちゃん…赤ちゃんができたって…」
「ごめんね…今まで言えなくてごめんね…」
「そんな…ママは…アタシのことがキライになったのね…ひどい!!」
ママが妊娠4ヶ月だと言うことを聞いたアタシは、ママにきらわれたと思い込んだ。
結局、アタシはカレ(37歳・経理事務)と一緒に横浜へデートに行くことになった。
10月17日の午後1時すぎであった。
ところ変わっては、横浜パシフィコの近くにある豪華ホテルの展望レストランにて…
アタシとカレ・ひろゆきは、料理長おまかせのランチメニューでランチを摂りながらお話をしていた。
「ニンシン…ゆかり…もしかして…オレの子供ができたのか!?」
「アタシじゃなくて、ママよぉ…」
「なーんだ…びっくりしたよ…オレ、ゆかりがニンシンしたのかと思ったからびっくりしたよ…」
「ごめんね…」
「それよりも、ゆかりのママが妊娠に気づいたのはいつ?」
「いつって…2ヶ月前からよ。」
「2ヶ月前から…」
「うん…ママ…ごはんを残す時が多かった…その上に…悲しい表情を見せる時が多かった…アタシ…ママにきらわれたと思った…」
「ママにきらわれた?」
「うん…」
「ゆかりのママがゆかりを出産したのは…ゆかりくらいの年齢《とき》だったね…」
「うん。」
「ともだち母娘だったのだね…」
「うん。」
カレは、ステーキを食べる手を止めたあとアタシに言うた。
「ゆかり…今日は、ゆかりに大切な話があるのだ…聞いてくれるかな?」
「大切なはなし?」
「ゆかり…ゆかりの高校卒業が確定したら…結婚しよう…」
「結婚…」
「ああ…ゆかりとオレが出会ったのは…オレが24で…ゆかりが5つだったな…ゆかりの両親が共稼ぎで…近くに遊び相手がいなかったので…オレが…遊び相手になった…ゆかりが11歳の時だったかな…オレを…ひとりの男として意識したのは…その時から結婚を前提としたお付き合いを始めた…ケンカしたこともあったけど…ゆかりはねばり強くオレを愛してくれた…ゆかり…高校の卒業式が終わったら…入籍しようか…」
「えっ?」
「オレ、来年の4月から…神戸の支店勤務を命ぜられたのだよ…その前に入籍しようと思っているのだよ…」
「えっ?」
「ゆかり、この際だからママとバイバイしようね。」
「ママとバイバイする。」
「そうだよ…ともだち母娘を卒業しようね。」
ともだち母娘は卒業…
ヤダ!!…
そんなのヤダ!!…
アタシ…
まだ、ママの娘でいたいもん…
カレは、もどかしい表情を浮かべているアタシに言うた。
「ゆかり…どうしたの…ゆかりはオレのお嫁さんになるのだろ…」
「うん…」
「オレのお嫁さんになるのだったら、ママとバイバイしなきゃ…明日から結婚準備を始めようね…」
カレに言われたアタシは、翌日から高校卒業に向けての勉強とママとバイバイするための準備に取り組んだ。
なので、ママと過ごす時間は1分もなかった。
同時にママも、出産準備のために細々と動いた。
2015年12月10日頃であった。
二学期末の期末試験が終わった。
この時点で、卒業に必要な単位を多く得ることができた。
2016年1月29日に、学年末試験が終わった。
この時点でアタシの高校卒業が確定した。
アタシは、カレと入籍をすることを決意した。
時は流れて…
2016年2月14日のことであった。
ところ変わって、横浜パシフィコの近くにある豪華ホテルの展望レストランにて…
アタシとママとカレは、ながめのいい席にいた。
カレは、デジカメでアタシとママの思い出の写真撮影をした。
「ママ、いい顔をして…」
「ゆかり…ママ恥ずかしいよぉ…」
「ママ、一緒に楽しもうよぉ…」
その後、3人で料理長おまかせのランチメニューでランチを摂った。
ランチを摂ったあと、3人で今後のことについて話し合った。
カレは、ママに対してアタシが高校の卒業式を終えたあと入籍すると伝えた。
知らせを聞いたママは、悲しい表情を浮かべた。
カレは、心配そうな声で言うた。
「お母さま…お母さま…」
「ああ…ひろゆきさん…」
「どうかなさいましたか?」
「ああ、なんでもないわよ…ちょっと…つかれただけよ。」
「そうでしたか…」
ママは、アタシが高校を卒業したあとカレと入籍することを聞いたので、気持ちがひどく動揺した。
その日の夜であった。
ママとアタシは、家のダイニングキッチンのテーブルにいた。
ママは、アタシが高校卒業後は短大に進学すると思っていたが、カレとアタシが結婚すると聞いたのでがっかりした。
アタシは、ママに対して申し訳ない声で言うた。
「ママ…ごめんなさい…本当にごめんなさい…」
ママは、怒った声でアタシに言うた。
「ゆかり…あんたはなにを考えているのよ!!」
「だからごめんなさい…」
アタシは、改めてママにカレと結婚する意思があることを伝えた。
ママは、より悲しい表情でアタシに言うた。
「ゆかりの気持ちはよくわかるわよ…ママの胎内に赤ちゃんがいる…赤ちゃんが生まれたら…ママはゆかりの元を離れる…ママは…ゆかりをひとりぼっちにしたくないから…」
「イヤ!!アタシは待つことができない!!」
「ゆかり〜」
アタシは、怒った声でママに言うた。
「ママは、アタシに何歳まで待てと言うのよ!?アタシが30歳になったら、カレは49になるのよ!!」
「ゆかり!!」
「そう言うママは、何で18で結婚したのよ!?」
「何でって…さみしかったからパパと結婚したのよ!!ママは、家の中に居場所がなかったのよ…ゆかりは、20代のうちは楽しい時間を過ごしてほしいの…早くに結婚したら、毎日がまんの日々がつづくのよ!!」
アタシは、目を真っ赤にした表情でママに言うた。
「ママの言うことが理解できない…ママは家庭内に居場所がなかったからパパと結婚したのね…それじゃあ、パパの気持ちはどうでもよかったと言うのね!!もういいわよ!!ママなんか大キライ!!」
アタシは、ママを怒鳴りつけたあとダイニングから出た。
「くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」
アタシに怒鳴られたママは、テーブルに顔を伏せた状態でくすんくすんと泣いた。
あの一件以降、アタシとママの関係が気まずくなった。
それでもアタシは、カレと結婚する意思を変えなかった。
そして、3月1日…
高校の卒業式を迎えた。
パパは仕事を理由に卒業式に出席しなかった…
ママも、出席しなかった…
卒業式は、アタシひとりで出席をすることになった。
卒業式を終えたあと、アタシはさみしい表情で学校の正門をくぐった。
そんな時であった。
カレがアタシを迎えに来た。
カレは、アタシを車に乗せた後市役所へ向かった。
アタシとカレは、婚姻届を提出した。
これで正式に夫婦になった…
その後、カレはアタシを連れて茅ヶ崎市内《しない》にある教会へ向かった。
カレはアタシに対して『母娘《おやこ》がギクシャクしたまま結婚するのはよくない…』と言うた。
カレは、アタシとママの最後の思い出づくりをするためにアレコレと準備を整えた。
ところ変わって、茅ヶ崎市内《しない》にある小さな教会にて…
教会のチャペルに、アタシとママがいた。
改めてアタシはカレと結婚することを伝えた。
純白のウェディングドレス姿のアタシとバナナ色のながそでにココナツ色のマタニティ服を着ているママは、話し合いをした。
「ママ…ごめんね…ごめんね…ママ…」
「ゆかり…本当にお嫁に行くのね…」
「うん…」
ママは、さみしそうな表情でアタシに言うた。
「ママ…赤ちゃんを産むわ…赤ちゃんを産んで…がんばって育てるわ…」
「ママ…」
「ママ…今日で…ともだち母娘は卒業するわ…ゆかりはママの元から旅だって…ひろゆきさんの元へ行く…ママも…赤ちゃんを産んで…がんばって、育てるわ。」
ママの言葉を聞いたアタシは、涙を流しながらママに伝えた。
「ママ…今までアタシを育ててくれて…ありがとう…アタシ…ママの娘に生まれてよかったわ…ママと過ごして来たともだち母娘の時間が終わっても…ママの娘でいたいの…」
「もちろんよ…遠く離れていても…ゆかりはママの娘よ…」
アタシとママは、ワーワーと泣いた。
(カランカランカランカラン…)
アタシとカレの結婚式が始まった。
こうして、アタシとママのともだち母娘の日々が終わった。
【これでおしまい】