恋の順番
3.
「塾の帰りは、いつもここで夜食べてくの」
「塾?」
「そう。夕方五時から九時まで。そのまま家に帰るとクタクタで寝ちゃうから、週一回はここで晩ごはん」
皆上くんが大きく目を見開く。
「五時から九時? なんでそんなに勉強してんの。それ以上、頭よくなってどうするつもり?」
いつの間にか皆上くんはちゃっかり私の隣に座り、からかうように私の頭をポンポンッとなでた。
もう……犬じゃないんだから。
「今から志望校に向けて準備してるの。私、医学部志望でね」
私の両親は病院の先生で、私も将来医師になるよう言われてるんだ。
昔から誰かを助ける仕事に就きたかったし、当然医学部をめざすのが当たり前のように思ってた。
「だけど、ときどき疲れちゃって。こうやって、週に一回ひとりでハンバーガー食べるのがちょっとした楽しみなんだ」
誰にもなんにもうるさく言われない。ひとりでなんでも好きなものを選べる。
堅苦しいマナーもカロリーバランスも脇に置いとける。
家に帰るまでのこのひとときが、私にとって思いきり羽を伸ばせる唯一の時間なの。
「塾?」
「そう。夕方五時から九時まで。そのまま家に帰るとクタクタで寝ちゃうから、週一回はここで晩ごはん」
皆上くんが大きく目を見開く。
「五時から九時? なんでそんなに勉強してんの。それ以上、頭よくなってどうするつもり?」
いつの間にか皆上くんはちゃっかり私の隣に座り、からかうように私の頭をポンポンッとなでた。
もう……犬じゃないんだから。
「今から志望校に向けて準備してるの。私、医学部志望でね」
私の両親は病院の先生で、私も将来医師になるよう言われてるんだ。
昔から誰かを助ける仕事に就きたかったし、当然医学部をめざすのが当たり前のように思ってた。
「だけど、ときどき疲れちゃって。こうやって、週に一回ひとりでハンバーガー食べるのがちょっとした楽しみなんだ」
誰にもなんにもうるさく言われない。ひとりでなんでも好きなものを選べる。
堅苦しいマナーもカロリーバランスも脇に置いとける。
家に帰るまでのこのひとときが、私にとって思いきり羽を伸ばせる唯一の時間なの。