レンズのむこう
それでいいんだよ。君は喘いでるだけでいいから


それでも一応俺も紳士なわけで、宥めるように髪を撫でてやった。


それだけで簡単に機嫌がとれるなんて…俺も罪な男だね。


くくっと喉の奥で笑ってベルトに手をかけた瞬間


-パシャリッ-



「は…?」

突然鳴った機械音に思わずマヌケな声が口からこぼれた。
今のはなに?カメラの音か…?


-パシャッパシャッ-



「えっうそ…やだぁっ!!」



鳴りやまない機械音に女は泣きそうになりながら勢いよく屋上から出ていった。



あーあ…いいとこだったのになぁ……
それにまだ俺たちが見つかったわけでも写真撮られたって決まったわけでもないのに



ひどく気分が盛り下がって頭をガシガシとかきむしる。




< 12 / 55 >

この作品をシェア

pagetop