レンズのむこう
体力には自信があります!!


変な自己PRを頭の中で連想させながら二階分の階段を登りきり、屋上の扉をぎぎぃっと開けた。




風がビュウッと髪の毛を踊らせる。

ドアの向こう側から溢れる光に目を細めながらも、一歩一歩屋上の中へ、そして外へと歩んだ。



「グッド…」



私はそう呟いて、屋上の中心でゆっくりと寝そべる。




痛いほどの青が、私の視界を埋めつくす。


その中を魚のように悠々と泳ぐ雲を見つめてふうっと息を吐いた。



この瞬間が好き。


私は相棒のカメラを構えて、シャッターチャンスを待った。


一秒一秒形を変えていく雲と空。


シャッターチャンスは一瞬のもの。


それを逃さないように、張りつめた緊張感の中レンズのむこうを覗くこの時がなによりも好きだ。



ドキドキと高鳴る鼓動をコンクリートに伝えながら、私はただその時を待つ。



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