政略結婚だった二人
「俺が何を言いたいか、わかるか?」
「あの……もしかして、お庭の池の水を全部抜いてしまったことを怒ってらっしゃいますの?」
「別に怒っているわけでは……ん? んん? 池の水を? 抜いたのか? 全部っ!?」
「はい、全部抜きました。ついでに、わんさかいた外来魚は全て厨房にお預けしました」
ローエンが全力でシリアス顔をしているというのに、姫ときたらニッコニコである。
(そういえば……魔王城一階職員食堂の本日の日替わりが、急遽白身魚フライ定食になっていたな……)
などと思い返しつつ、ランチは黒酢豚定食を食べたローエンが問いを重ねた。
「なぜ、池の水を抜くような事態になったんだ?」
「ピアスを片方、落としてしまいましたの」
アメリの小さな耳たぶには、結婚してすぐの頃にローエンが誂えてやったピアスがはまっている。
金の土台に乗っているのはローエンの瞳の色にそっくりのアメジストだが、石を選んだのはアメリ自身なので、彼が独占欲丸出しで自分色を纏わせたとかでは、断じてない。
今現在、左右どちらの耳にもピアスがはまっているところを見ると、無事に回収できたのだろう。
アメリはそれを確かめるように、両の耳たぶに手をやりながら続けた。
「あの……もしかして、お庭の池の水を全部抜いてしまったことを怒ってらっしゃいますの?」
「別に怒っているわけでは……ん? んん? 池の水を? 抜いたのか? 全部っ!?」
「はい、全部抜きました。ついでに、わんさかいた外来魚は全て厨房にお預けしました」
ローエンが全力でシリアス顔をしているというのに、姫ときたらニッコニコである。
(そういえば……魔王城一階職員食堂の本日の日替わりが、急遽白身魚フライ定食になっていたな……)
などと思い返しつつ、ランチは黒酢豚定食を食べたローエンが問いを重ねた。
「なぜ、池の水を抜くような事態になったんだ?」
「ピアスを片方、落としてしまいましたの」
アメリの小さな耳たぶには、結婚してすぐの頃にローエンが誂えてやったピアスがはまっている。
金の土台に乗っているのはローエンの瞳の色にそっくりのアメジストだが、石を選んだのはアメリ自身なので、彼が独占欲丸出しで自分色を纏わせたとかでは、断じてない。
今現在、左右どちらの耳にもピアスがはまっているところを見ると、無事に回収できたのだろう。
アメリはそれを確かめるように、両の耳たぶに手をやりながら続けた。