遅刻しそうな時にぶつかるのは運命の人かと思っていました
Prolog
遅刻、遅刻~と言いながらパンをくわえて走っていて、角を曲がると誰かにぶつかる。
──それは運命の相手。
実際は遅刻しそうになっていたら、ただ走るだけである。
杉原亜由美は自宅の最寄り駅の改札をかなりの早足で通り抜ける。
昨日の夜は大好きでずっと追っていたコミックスの最終話が配信されたということもあって、つい夜更かししてしまった。
最終話は感動で号泣ものだったし、亜由美も、もちろん泣いた。ハッピーエンドで大満足だったけれど、それを読んだらまた最初から読みたくなって見返したのが、夜更かしの理由だ。
ホームからはもうすぐ電車が到着するというアナウンスが聞こえる。
(これなら電車に間に合う!)
その時改札に向かっていた人と亜由美は肩がぶつかってしまった。
「おい!」
その時だ。野太い声で呼び止められてしまった。男性が亜由美のことをじっと睨んでいたのだ。
ぶつかってしまったのは間違いない。亜由美は足を止めて慌ててその男性に向かって頭を下げた。
──それは運命の相手。
実際は遅刻しそうになっていたら、ただ走るだけである。
杉原亜由美は自宅の最寄り駅の改札をかなりの早足で通り抜ける。
昨日の夜は大好きでずっと追っていたコミックスの最終話が配信されたということもあって、つい夜更かししてしまった。
最終話は感動で号泣ものだったし、亜由美も、もちろん泣いた。ハッピーエンドで大満足だったけれど、それを読んだらまた最初から読みたくなって見返したのが、夜更かしの理由だ。
ホームからはもうすぐ電車が到着するというアナウンスが聞こえる。
(これなら電車に間に合う!)
その時改札に向かっていた人と亜由美は肩がぶつかってしまった。
「おい!」
その時だ。野太い声で呼び止められてしまった。男性が亜由美のことをじっと睨んでいたのだ。
ぶつかってしまったのは間違いない。亜由美は足を止めて慌ててその男性に向かって頭を下げた。
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