遅刻しそうな時にぶつかるのは運命の人かと思っていました
(それって話しかけにくいとかそういうことかしら?)
 良いことなのか悪いことなのか、よく分からなくて戸惑ってしまう。

「良いと思うよ。大事な人だけが本当のことを知っていればいいんじゃないかな?」

 大事な人だけが……。
「それを言うなら、奥村さんにも知ってほしいです」

「亜由美ちゃん!」
 感極まった様子の奥村に亜由美はぎゅっと手を握られる。
「もちろんよ!」

 大好きで尊敬する先輩が亜由美のことも大事にしてくれるのは、本当に嬉しいことだった。

 その後はいつも行っている洋服屋の話とか、美味しいお店の情報などを交換しつつ、楽しい夜はふけていった。

 駅で奥村とは別れて、亜由美はご機嫌で電車に乗る。今日行ったお店のフォトライブラリーを見返しながら、今度鷹條と一緒に行ってもいいなぁなどと考える。

 そして何枚か綺麗に撮れていた写真をメールアプリで鷹條に送っておいた。

 鷹條は時間がある時に確認して返信してくれるので、即答ではないこともあるけれど、そんなことは構わない。

 気兼ねなくメールしていいと言われていたし、亜由美も返信がないことに不貞腐れたりはしない。
 それより、共有できることをたくさん共有したいのだ。

『美味そうだな』

 ポンッと返信があって、逆に亜由美は驚いてしまった。
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