遅刻しそうな時にぶつかるのは運命の人かと思っていました
「千智さんは楽しそうね?」
「ああ、楽しい。亜由美はどこもかしこも綺麗だし、すごく俺のものって感じがする。しかも初めてとか可愛いすぎる」

 首から腕、背中、腰へとボディタオルが滑っていった。
「前も、洗っていい?」

 顔が赤くなる。亜由美はこくりと頷いた。鷹條は泡を手の平にのせて、そっと亜由美の胸に触れる。

「んっ……」
 泡で滑りがよくなっていて、普段手で触れる時とは全く感触が違う。

 洗ってくれているだけなのに、亜由美は漏れてしまう声を抑えることができなかった。

 手の平がお腹を撫でて、下腹部にも降りてゆく。ふわふわと表面を泡で包まれた後、指が敏感な花芽に触れた。

「……あ……っ」
 指は狭間にも触れる。

「感じてた? 濡れてるね」
「ちが……」

 ボディソープの滑りを借りて動く指の普段とは違う感触に亜由美は背中を震わせた。
 鷹條はシャワーからお湯を出して亜由美の身体についた泡を流してくれる。

「可愛い」
 そっと優しく、後ろからしっかりと抱きしめられる。

「あ……」
 お互いに素肌が密着する。なにも身にまとわない状態で抱き合うのは、コトの最中ならあったかもしれないけれど、まだ理性の残った状態では初めてのことだ。

 それがこんなに恥ずかしいなんて亜由美は知らなかった。

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