遅刻しそうな時にぶつかるのは運命の人かと思っていました
12.必ず護る
「恥ずかしがってる亜由美って、本当に可愛い」
 耳元で囁かれて、顔なんて見えないはずなのにと思うと、目の前の鏡越しに鷹條と目が合ってびくっとしてしまう。

 鏡越しの鷹條の表情はひどく蠱惑的で亜由美の胸はドキドキと大きな音を立てる。

「恥ずかしい……です」
「うん。いや?」
 いや、ではないかもしれない。

 亜由美は首をそっと横に振った。ふっと鷹條が笑った気配がする。
「いやならいつでも言って。すぐ止める」

 後ろから伸ばされた手が亜由美の胸を緩く揉みしだく。後ろから触れられて形の変わってしまっている胸が目に入った。なんだか妙に淫らに見える。

「痛くはない?」
 こくりと亜由美は頷いた。

「柔らかくて触っているだけでも気持ちいい。ふわふわしているのに、先をこんなに尖らせてるのもすごくエロくていい」

 自分で意識しなくても尖ってしまっている先端を鷹條が指先できゅっと摘まんだりする。
 自分で触れても何か感じるようなことはないのに、鷹條に触れられるとどうしてこんなに切なくなってしまうのか。

 ぴくっと揺れてしまう身体の動きは鷹條には知られてしまっていることだろう。
「そんなこと……言わない、で」

 くすっと笑う鷹條は亜由美が今まであまり見たことのない顔をしていた。
 いつもと少し違う顔だ。ちょっとだけいじわる。でも楽しそうな。

「気持ちいいなら気持ちいいって言ってもらえたら本当は嬉しい」
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