遅刻しそうな時にぶつかるのは運命の人かと思っていました
「お風呂場でちょっといじめてみたかったのに、そんなに可愛いことを言うから、我慢できなくなった。俺も好きだよ。ベッドに行こうか?」

「ん……。いっぱい、して?」
「そんなこと言って、知らないからな?」

 くすくすと笑いながら鷹條は亜由美を寝室へと運ぶ。その間も軽く頬にキスをされたりして亜由美はとても幸せな気持ちになった。

 好きにしていいのも、いっぱいされてしまっていいのも、本当のことだ。
 ベッドにそっと寝かされて、上に鷹條が覆いかぶさる。

 その端正な顔が近くて、亜由美のことをとても愛おしいと思ってくれることが伝わって、思わずきゅっと亜由美は抱きついてしまう。

「今日の亜由美は甘えんぼなんだな」
 鷹條は甘えたい亜由美のことも理解してくれていて、こんな時はたっぷり甘やかしてくれるのだ。

 笑った顔が近づいて唇が重なり、舌で口の中を緩く蹂躙される。二人の舌が絡みあって、その感触にも亜由美は蕩けそうな心地になる。

 亜由美の手に鷹條の指がしっかりと絡みついて、二人の下半身がぴったりと密着する。

 太ももには鷹條の昂ったものが何度も擦り合わされて、それでもキスを止めることはできなかった。

 ──私で興奮してくれている。
 それすらも亜由美を敏感にさせていた。
 キスをしながら、亜由美も緩く腰が揺れていたことなど気づいてはいなかった。

「亜由美、腰揺れてる」
 ぱっと亜由美の顔が赤くなる。

「たまらない……」
 見蕩れそうなほど綺麗な顔に少しだけ浮かんでいる余裕のなさが亜由美の胸をきゅんと締め付けた。
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