遅刻しそうな時にぶつかるのは運命の人かと思っていました
つまり犯人が『そんな意図はありませんでした』と言っても、それを証明することは難しいということだ。
『本当は怖かった……』
亜由美はそう言って震えていた。それがすべての被害者の本音なのだろうと思う。
鷹條に容赦する気持ちは一切なかった。
「ところで手紙については破損しても構わないと杉原さんからは聞いていますが」
「要らないでしょうから」
「一部DNAが取れる可能性があるそうです」
鷹條も研修の中で鑑識については学んでいる。だからこそ、手紙の取り扱いはかなり慎重にしたのだ。
「鑑識に聞いたところ体液が採取できる可能性があるそうです。一般的にあの手のことをやらかす時は興奮状態にあって、汗その他の体液を残しやすい。まだ検分していないが、封筒の糊部分を舐めていたりしたら最高なのですがね」
それにしても手紙からDNAの採取ができるとまでは思わなかった。鷹條が思い至ったのは指紋を破損しないようにすることくらいだったからだ。
「もちろん鷹條くんのおかげで指紋はしっかり取れています。けどそれだけでは証拠にならないこともご存知ですね?」
「はい」
偶然触れたと言われたらそれまでだ。
しかし、指紋、DNA、また今後出てくるであろう様々な証拠を重ね合わせれば、おそらく令状の請求ができる。
鷹條は直接の関係者となる上に部署も違うため、直接的に捜査に関わることはできないが、久木もまた警備局の局長も、そして組織も、このままで済ますことはないだろう。
『本当は怖かった……』
亜由美はそう言って震えていた。それがすべての被害者の本音なのだろうと思う。
鷹條に容赦する気持ちは一切なかった。
「ところで手紙については破損しても構わないと杉原さんからは聞いていますが」
「要らないでしょうから」
「一部DNAが取れる可能性があるそうです」
鷹條も研修の中で鑑識については学んでいる。だからこそ、手紙の取り扱いはかなり慎重にしたのだ。
「鑑識に聞いたところ体液が採取できる可能性があるそうです。一般的にあの手のことをやらかす時は興奮状態にあって、汗その他の体液を残しやすい。まだ検分していないが、封筒の糊部分を舐めていたりしたら最高なのですがね」
それにしても手紙からDNAの採取ができるとまでは思わなかった。鷹條が思い至ったのは指紋を破損しないようにすることくらいだったからだ。
「もちろん鷹條くんのおかげで指紋はしっかり取れています。けどそれだけでは証拠にならないこともご存知ですね?」
「はい」
偶然触れたと言われたらそれまでだ。
しかし、指紋、DNA、また今後出てくるであろう様々な証拠を重ね合わせれば、おそらく令状の請求ができる。
鷹條は直接の関係者となる上に部署も違うため、直接的に捜査に関わることはできないが、久木もまた警備局の局長も、そして組織も、このままで済ますことはないだろう。