遅刻しそうな時にぶつかるのは運命の人かと思っていました
警察官は一瞬、亜由美に目を向けるとごく軽く頷いた。
その頷きだけで、亜由美は安心する。
「ないと言ったら? 任意だよな?」
彼はあくまでも素直に応じる気はないようだ。
「任意ですが、ご協力をお願いできませんか?」
「はあ? いやだけど」
彼と制服の警察官が押し問答になり始めた時だ。
「亜由美!」
足早に駆け寄ってきたのは鷹條だった。
「千智さん……っ」
駆け寄ろうとした亜由美の肩を彼が掴む。掴んだその手を掴み返したのは鷹條だった。
亜由美が距離を取ったのを見た鷹條は亜由美を背中に庇って彼を真っすぐ睨んだ。
見たことのない怖い顔だ。警察官としての鷹條の顔だった。
「離せよ。俺は彼女に用事があるんだ」
「彼女にはないんじゃないか?」
「はあ? そんなわけないだろう! なあ? 亜由美?」
鷹條の背に隠れた亜由美は頭を横に振る。
「私は用はないからっ。あんな隠し撮りみたいな写真撮られて怖かった」
「お前が撮ったのか?」
「違う! 隠し撮りじゃない。見守っていただけだ」
「ストーカーか」
「そんなものと一緒にするなっ」
その瞬間、彼は無謀なことに鷹條へ掴みかかったのだ。
彼の身体が一瞬宙を舞ったように見えて、次の瞬間には地面にたたきつけられていた。
「暴行の現行犯だ」
「はあ!? 私人逮捕か?」
私人逮捕とは現行犯であれば、検察官や司法警察職員でなくても、また逮捕状がなくても行うことができるものだ。
その頷きだけで、亜由美は安心する。
「ないと言ったら? 任意だよな?」
彼はあくまでも素直に応じる気はないようだ。
「任意ですが、ご協力をお願いできませんか?」
「はあ? いやだけど」
彼と制服の警察官が押し問答になり始めた時だ。
「亜由美!」
足早に駆け寄ってきたのは鷹條だった。
「千智さん……っ」
駆け寄ろうとした亜由美の肩を彼が掴む。掴んだその手を掴み返したのは鷹條だった。
亜由美が距離を取ったのを見た鷹條は亜由美を背中に庇って彼を真っすぐ睨んだ。
見たことのない怖い顔だ。警察官としての鷹條の顔だった。
「離せよ。俺は彼女に用事があるんだ」
「彼女にはないんじゃないか?」
「はあ? そんなわけないだろう! なあ? 亜由美?」
鷹條の背に隠れた亜由美は頭を横に振る。
「私は用はないからっ。あんな隠し撮りみたいな写真撮られて怖かった」
「お前が撮ったのか?」
「違う! 隠し撮りじゃない。見守っていただけだ」
「ストーカーか」
「そんなものと一緒にするなっ」
その瞬間、彼は無謀なことに鷹條へ掴みかかったのだ。
彼の身体が一瞬宙を舞ったように見えて、次の瞬間には地面にたたきつけられていた。
「暴行の現行犯だ」
「はあ!? 私人逮捕か?」
私人逮捕とは現行犯であれば、検察官や司法警察職員でなくても、また逮捕状がなくても行うことができるものだ。