遅刻しそうな時にぶつかるのは運命の人かと思っていました
17.落としても探しやすい場所
 亜由美の件に関わっていた間、鷹條は研修という扱いになっていた。表立って合同捜査に参加していたわけではないが非公式には関わっていたのだ。

 事件解決後、亜由美の協力で非常通報装置の使用も含め、警備部での運用も可能と判断された。

 また亜由美の元カレにストーカー以外の詐欺などの余罪があったことから、ストーカー対応していた生活安全課だけではなく、詐欺などを担当している捜査二課との連携も必要だった。

 それに加えて鷹條が被害者となったことで警備課も連携することとなり、今回は実は事件としては警察内部でも参考案件として非常に注目されてしまった。

 こうなってくると警察といえど、お役所でもある。それぞれの上司が事件解決に向けて尽力したことは間違いない。

 もちろん鷹條が被害者だったことは大きかったのだが、それについては単なる口実なのでは? と鷹條は思ってしまう。

 それでも無事に解決してよかったと鷹條は胸を撫で下ろしていたところだ。

 事件の間、鷹條は研修という名目で現場の連携を担当していた。
 いわば事務仕事であったわけだが、デスクへずっと張り付きになることで、即座に亜由美の対応ができるようにしていたのだ。

 一時的な措置ではあったわけだが、結局のところそのおかげで非常通報装置のボタンが押された時にすぐに駆けつけることができたのは良かった。
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