遅刻しそうな時にぶつかるのは運命の人かと思っていました
 すぐに会えるというわけではないけれど、亜由美も両親にきちんと報告しておこうと心に決めた。


 鷹條と一緒に遠出をするのは初めてで、亜由美は楽しみでもあったけれど、緊張もしていた。

 当日、鷹條は車で迎えに来てくれた。ハンドルを握ると人格が変わる人もいるらしいが、鷹條のフラットさはハンドルを握っても変わるものではないらしく、亜由美は安心して助手席で座っていられる。

「千智さん、運転上手なのね」
「派出所にいた時はパトロールとかもあったからな。亜由美は?」

 亜由美は言葉を詰まらせる。
「あります。免許は……ペーパーだけれども」
「まぁ、都心じゃ車は要らないからな。電車でほぼ移動できるし。どれくらいのペーパーなんだ? 後で運転してみる?」

「命が大事ならやめた方がいいからっ!」
 あははと鷹條が笑う。
「どれほどなんだよ。免許ってだけなら、大型の自動二輪とか、大型二種も持ってるな」

「自動二輪?」
「バイクだよ。白バイに乗りたかったから」
 白バイ隊員の鷹條を亜由美は想像してしまった。それはそれで似合いそうな気もする。

「似合いそう……」
「バイクはたまに乗りたくなるな。メンテナンスできなくて手放してしまったけど」
「そっか、忙しいもんね」
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