遅刻しそうな時にぶつかるのは運命の人かと思っていました
18.両親へのご挨拶
「ん……」
 顔に光が当たって肌に直接シーツが触れているのを感じて、亜由美はそっと目を開ける。
(私、何も着ないで寝てた……?)

「おはよう」
 耳元に響く声と、首元にかかる吐息と密着している身体と身体に絡む腕。
 亜由美はその腕にそっと手を触れた。

「おはよ」
 後ろから抱きしめられていたので、くるりと振り返って鷹條を見る。

 朝の光の中で亜由美の大好きな人が柔らかく微笑んでいた。
 それはとても幸せを感じる光景だった。

「可愛い。亜由美、好きだよ」
 亜由美が見とれそうなほどに綺麗な顔で鷹條が頬にキスをする。くすぐったいような気持ちで亜由美はそれを受け取った。そして鷹條の背中に手を回す。

「私も……好き」
 鍛えられた胸元に顔を埋めて、広くて筋肉質の大きな背中に手を回す。とても頼りがいのあるものだった。

「亜由美、煽ってる?」
「え?」
「胸が当たってて、痕が目に入る」

 ふと、亜由美が胸元に目を落とすと、昨日鷹條が付けた痕が花びらのように肌に散っている。

 ぎゅっと抱きついていたので、鷹條の肌に自分の胸元を擦り付ける形になってしまっていた。それに気付いて赤くなる。

「なんか、痕がいっぱいあった……」
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