遅刻しそうな時にぶつかるのは運命の人かと思っていました
「はい。千智から聞いています。この度はいろいろと捜査にご協力も頂いたそうで。本当にありがとうございます」
「あ……いえ」

 そんなことまで聞いているとは思わなくて一瞬驚いたけれど、そう言えば鷹條の父も警察官なのだったと亜由美は思い至る。

「警察官というとやはりちょっと特殊な環境になるけれど、亜由美さんは大丈夫そうですか?」
 そう言って、鷹條の父は奥の部屋に目をやる。

「はい。あの……お客様がいらっしゃっているのなら、私はまた日を改めます」
「いいえ。良かったら、亜由美さんもどうぞ」
 そう言われて、亜由美は鷹條を見る。鷹條はこくりと頷いた。

 奥の部屋を鷹條が開けると、中には若い男性が七、八人ほどいて、庭へのサッシも開け放たれている。
「すみません! すぐ帰ります!」

 部屋の中のテーブルの上には山盛りの唐揚げとか、卵焼きなどのおかずや豚汁とか、山積みされたおにぎりなんかが載っていた。
 それを部屋の中にいたみんなで食べていたようだ。

「あ、構わない。僕の婚約者だ。ゆっくりしていってくれ」
「あ……れ? 確か鷹條署長のご子息って本庁にお勤めの……?」

「そうだ。今は警備課にいる」
 疑問の声にも鷹條は返事をしていた。
「お疲れ様です!」
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