遅刻しそうな時にぶつかるのは運命の人かと思っていました
 心配をかけて申し訳ないと思うけれど、鷹條との経緯を説明するのにもそこを端折るわけにはいかなかった。

『そこのマンションはそのまま二人で住んでもいいからね』
「ありがとう。千智さんのお仕事のこともあるし、相談してみるね。お父さんの気持ちは伝えておく」

 婚約のことを説明したら、両親はとても喜んでくれた。
 亜由美がずっと住み続けているマンションは元々家族で住んでいたものだ。そこに亜由美は一人でそのまま住んでいた。

 結婚するのであれば二人で住んでも構わないと言われている。鷹條の官舎も同じ駅にあるので、引っ越しについては上司と相談して、というところのようだった。

 申請は必要であるものの現在地から大きく離れるわけではないし問題はないだろうとのことだ。
『こちらでの仕事が落ち着いたら帰国してご挨拶もしないとな』

「顔合わせ? そうね、千智さんのご両親もお忙しいからあらかじめ日にちを決めておいた方がいいでしょうね」
『分かった。検討しよう』

 近況報告では鷹條の家族のことを話した。
 鷹條の母がいろんな覚悟を持って、父の側にいることを聞いた両親は微妙な顔をする。

『それでも、亜由美ちゃんはその人と一緒にいたいのよね?』
「うん。護られるだけじゃなくて、私も支えたいの」
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