遅刻しそうな時にぶつかるのは運命の人かと思っていました
『じゃあ、もう言うことはないだろう。今後は二人で決めていきなさい』
 両親にもきっと不安はあるだろうと思うのだが、認めてくれたのは、とても嬉しいことだった。

『日本のニュースを見ながらね、たまにSPさんが映ると、亜由美ちゃんの彼かなってすごく探しちゃうの。お会いするのが楽しみだわ。おめでとう、亜由美ちゃん』
「ありがとう」

 両親におめでとうと言ってもらえたことが、亜由美には本当に心から嬉しいことだった。
 周りの人達の温かい気持ちにいつも支えられていると、亜由美は幸せな気持ちでベッドに入ったのだった。

 それから二週間ほど経過した、ノー残業デーだ。亜由美は奥村と一緒に会社を出た。
 この日はお礼に、と四人でディナーをする日だったのだ。

「本当に気にしなくてよかったのに……って言っても亜由美ちゃんは気になるか……」
 奥村には性格を読まれている。

 店に向かいながら、亜由美はもう一度奥村に伝える。
「鷹條さんの上司の方もいらっしゃるんですけど、とても気さくな方なので」
「ふふっ、実を言えば興味津々なの」

 奥村はとてもしっかりとした人だし、コミュニケーション能力も高い。鷹條の上司が同席したとしても問題はないだろう。

 それに以前に久木のことを話した時はちょっと良い手応えだったので、亜由美は少し楽しみでもあるのだ。
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