遅刻しそうな時にぶつかるのは運命の人かと思っていました
Epilogue
 うららかな天気の良い日に結婚式は執り行われた。

 緑の芝生が敷き詰められたガーデンに柔らかな日差しが降り注ぎ、白いチャペルが映えている。

 結局、身内やお世話になった人だけを招いた小規模な結婚式にした。招待客は亜由美と鷹條を大事に思ってくれている人ばかりで、そんな人たちに囲まれて結婚式を挙げられたのが、とても幸せだった。

 真っ白なチャペルは外からの光もふんだんに取り入れられており、二人が結婚の宣誓をしたときは神々しいくらいに綺麗でみんながうっとりと見とれてしまう。

 壇上には金モールのついた制服姿の鷹條とAラインドレスのドレープを長く引くオフホワイトのドレスに身を包んだ亜由美がいた。

 儀礼服の鷹條は凛々しく、編み込んだ髪に小花を散らした亜由美は可憐な雰囲気で、とてもお似合いだ。

 結婚の宣誓ののち、先にゲストが外に出てフラワーシャワーの準備をしている時、外から「鷹條!」とコールされる声が聞こえた。
 今、二人はチャペルの中で待機していて、この後はチャペルの扉が開いて登場するという演出のはずだ。

「……全く。おいで、亜由美」
 亜由美は首を傾げながら鷹條に寄りそう。

 チャペルのドアが大きく開いた瞬間、亜由美は鷹條にお姫様抱っこされていた。

「きゃ……千智さん!?」
「つかまってて」
 亜由美はぎゅっと鷹條の首元に腕を回す。

 たくさんの花が二人に降り注いで、チャペルの階段を下りた鷹條はそっとその場に亜由美を降ろした。

「び、びっくりしたわ」
「キスとかじゃなくてよかっただろ?」
 確かにその通りだ。
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