遅刻しそうな時にぶつかるのは運命の人かと思っていました
「本当にありがとうございます」
タクシーが来るまで、病院の外のベンチに二人で並んで座って待っていた。
「お時間たくさん使わせてしまってごめんなさい。今朝も、今もありがとうございました」
やっと落ち着いてお礼を言えるのが嬉しい。
「そんなのはいいよ。少しでも役に立てたのならいい」
「そんな! 少しでも、なんて……!」
誰もが知らぬフリで通り過ぎる中、鷹條だけが足を止めてくれたのだ。
それだけでも救われた気持ちになった。
「私はとても嬉しかったです。誰も助けてはくれなかったから。会社でもそうなんです。私は大丈夫、と思われてしまうから」
「しっかりして見えるからな」
ふっと鷹條の雰囲気が柔らかくなって、彼が微笑んでいるのだと分かる。
しっかりして見えるって、まるでそうじゃないみたいじゃない!? いや、そういうところしか見られてないんだけども。
「あの! 普段はもうちょっとしっかりしているんです。そうだわ。今朝のことも今日のこともぜひお礼をさせてください」
別に慌てることはないのだけれど、なんだか変な印象のまま鷹條に誤解されたくないと思ってしまった亜由美なのだ。
「いや、本当に気にしなくていいよ」
「そういうわけにはいきません!」
いつも顔の表情に動きがない鷹條がふわりと表情を緩めた。
タクシーが来るまで、病院の外のベンチに二人で並んで座って待っていた。
「お時間たくさん使わせてしまってごめんなさい。今朝も、今もありがとうございました」
やっと落ち着いてお礼を言えるのが嬉しい。
「そんなのはいいよ。少しでも役に立てたのならいい」
「そんな! 少しでも、なんて……!」
誰もが知らぬフリで通り過ぎる中、鷹條だけが足を止めてくれたのだ。
それだけでも救われた気持ちになった。
「私はとても嬉しかったです。誰も助けてはくれなかったから。会社でもそうなんです。私は大丈夫、と思われてしまうから」
「しっかりして見えるからな」
ふっと鷹條の雰囲気が柔らかくなって、彼が微笑んでいるのだと分かる。
しっかりして見えるって、まるでそうじゃないみたいじゃない!? いや、そういうところしか見られてないんだけども。
「あの! 普段はもうちょっとしっかりしているんです。そうだわ。今朝のことも今日のこともぜひお礼をさせてください」
別に慌てることはないのだけれど、なんだか変な印象のまま鷹條に誤解されたくないと思ってしまった亜由美なのだ。
「いや、本当に気にしなくていいよ」
「そういうわけにはいきません!」
いつも顔の表情に動きがない鷹條がふわりと表情を緩めた。