遅刻しそうな時にぶつかるのは運命の人かと思っていました
 一係は総理大臣、二係は衆参両院議長・副議長、最高裁長官及び国務大臣、三係は国賓や海外からの外交使節団で、四係はその他の政府要人だ。

 鷹條はその二係に所属していた。二係も三班に別れておりそれぞれ交代で勤務をしている。

 時期的に国会の予算委員会の決議の真っ最中であり、審議が不十分だと紛糾したため、通常ではありえないくらい委員会が長引いた。

 通常の当直ならば庁舎内で過ごすことも多いし、余裕があれば仮眠を取ることもある。

 それはその日の運次第だ。
 運、ということで言えば昨日はついていなかったのだとしか思えない。

 委員会が長引いたことで、当然のことだが鷹條が警護する内閣官房長官も足止めをくらい、無事に自宅へと送り届けて報告書を完成させたところで、夜が明けていたという次第である。

 他の官公庁のことは知らないが、とにかく警察事務は紙で処理される。

 ペーパーレスと言われて久しいはずなのだが、未だに報告書、会議資料、すべては紙ベースに押印が基本なのだ。

 仕事だけではなく、この事務作業は疲労を増幅させる効果があるんじゃないかと鷹條は疑っている。

 しかし警察はいわゆるお役所なのだ。この紙での事務作業がなければ進まない。

 書類の作成が終わり、必要な押印をもらって、さらにそれを上司にまわしたところで鷹條の疲れはピークに達していた。


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