遅刻しそうな時にぶつかるのは運命の人かと思っていました
「今はないなぁ。亜由美は?」
「私も特に。プラネタリウム?」
「亜由美が行きたいのなら」
 あまり興味がなかっただろうか?

 そんな風に思った亜由美の頭を鷹條は、ぽんぽん撫でた。
「興味がないとかじゃないからな。知らないんだよ。行ったことなくて」

「あ……。ここは普通のプラネタリウムじゃなくて少しストーリー性のあるものを上映してるみたいで」
「へぇ……ホームページ見てみるか」

 近くのベンチに亜由美の手を引いて一緒に座り、ポケットからスマートフォンを取り出した鷹條はプラネタリウムのホームページをチェックしていた。

 目を伏せて画面を確認している鷹條を隣で亜由美は見ていた。
 伏せた目元のまつ毛がぱさぱさ揺れている。
 見とれてしまいそうだ。

(本当に綺麗な人なのよね……)
「亜由美、これ面白そうだ」

 急に顔を上げるから驚いてしまったが、鷹條は亜由美に面白そうだという画面を見せてくれる。肩を寄せて画面を覗き込んだ。

西表島(いりおもてじま)で撮影した満天の星々や、天の川・ケンタウルス座などをご紹介……」

 画面に書いてある文章を亜由美は読み上げる。
「なかなか遠出はできないからな。それに行く機会はあまりないだろう? 西表島?」

 少し遅めの時間なら二人用シートが予約できそうだな、と鷹條は楽しそうだ。
「これ、予約していいか?」

 首を傾げて亜由美にも聞いてくれる。
 亜由美はきゅっとその腕に抱きついた。
「うん」
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