遅刻しそうな時にぶつかるのは運命の人かと思っていました
 首や鎖骨や胸に落とされるキスも亜由美を怖がらせないように優しくしてくれているのが、とてもよく分かる。
「あの、好きにして……いいよ?」

 肌を辿っていた鷹條が顔を上げて、軽く髪をかきあげた。

「あのな、そんなことを男の前で言うなよ。本当に俺が好きにしたら、どうする?」
「それでもいいの」

「だぁめ! 俺が今日はすっげー、優しく亜由美を抱きたいから」
 そう言って胸元のつんと尖ってしまっている蕾を指先で軽く触れる。

「ん……」
 思わず背を反らした亜由美を鷹條は嬉しそうに見ていた。
 そして大事そうに愛おしそうに亜由美の肌に触れる。

「亜由美はどこもかしこも、白くて柔らかくて、甘くて……」
 肌に触れた指を辿るように唇がその後を追う。指の動きがまるで次にはここにキスをすると言われているようで、鼓動はどんどん大きくなっていった。

「甘い?」
 お腹にまでキスをするから、くすくすと笑い声が漏れてしまった。甘い訳はないと思う。
 少し肌が汗ばんでいるから、むしろしょっぱいのではないだろうか?

「甘いよ」
 きっぱりとそう言い切った鷹條の顔が下肢のほうへと動いてゆく。

 次はここに唇で触れると指が触れるところは亜由美がまだ誰にも触らせたことのないところだ。
 そっと足を割り開かれて、膝や太ももの内側に軽くキスをされる。
< 83 / 216 >

この作品をシェア

pagetop