遅刻しそうな時にぶつかるのは運命の人かと思っていました
 まだぼうっとしている亜由美に「そのまま力抜いてな」と鷹條が熱く猛ったものを亜由美の入り口にそっと当てた。

 熱を持ったそれはすりすりと何度か入口を緩く擦る。
 つぷっと中に入ってきたときに亜由美が感じたのは痛みよりも圧迫感だった。

 それでも、鷹條が優しく入口あたりをゆるゆると擦ってくれていることが分かる。思いがけないその大きさに亜由美の身体がこわばってしまうと、鷹條は頬を撫でて、亜由美の顔を覗き込む。

「大丈夫か? つらくない?」
「ん……平気……」
「優しくする」

 鷹條の腰の動きは極ゆっくりで、亜由美はよくは知らないけれど、もっと動かしたいんじゃないかとなんとなく察する。

「千……智さん、いいですよ、もっと……動いても……」
 亜由美の上に覆いかぶさっている鷹條が耳元に顔を近づける。

「そんなこと、言わないでくれないか? 理性なんてぶっ飛びそうだ」
 は……っという荒い呼吸音が聞こえて、耳をくすぐる吐息とその色香を含んだ呼吸音に亜由美は下肢がぞくぞくするのを感じた。

「んっ……あ……」
 思わず身体を震わせてしまったのは、密着している鷹條にはつぶさに伝わってしまったのだろう。

 笑みを含んだ声が耳元をくすぐる。
「ふうん? 亜由美は耳が感じやすい?」
「分……かんない」

「じゃあ、試してみようか?」
 そう言った鷹條が亜由美の耳に舌を差し入れくちゅくちゅと音がするほどに舐ったのだ。
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