遅刻しそうな時にぶつかるのは運命の人かと思っていました
 椅子の背が高いから座り心地はあまり良くないかと思ったら、少し大きめの椅子のせいか、思いの外ゆったりとしている。
 鷹條がこの店を勧めてくれたのも納得だ。

「とても綺麗な人ですね。亜由美さん、鷹條さんは友人と言ってくださったけれど、正式には恩人なんですよ」
「やめろ……」

 言葉は強いけれど、その表情には照れがある。だから、やめろと言われた朝倉も笑っていた。

 そんな二人の様子を見て亜由美は微笑ましくなる。
 鷹條の表情から亜由美は、察するものがあった。


< 94 / 216 >

この作品をシェア

pagetop