遅刻しそうな時にぶつかるのは運命の人かと思っていました
 今回は特典が付いていたからと特典のカードを同封してもらって丁寧に包装された本を受け取る。亜由美はお礼を言って足取り軽やかに自宅に帰った。

 大事な本はリビングのテーブルにそっとおいて、着替えて作り置きの料理を温める。

 テレビをつけニュースを確認しつつ、食事を済ませる。今日はゆっくりと本の世界に浸りたいので、片付けをしたらすぐにお風呂に入った。

 髪を乾かしながら、メールアプリを確認する。特に新しいメッセージは入っていないようだ。

 鷹條は今、警護の関係で遠方の県に出張中でメールアプリでの連絡もなかなか既読にならなかったり、亜由美が気づかない間に返信があったりする。

 それでも自宅に帰ると連絡するようにはしていた。いろんなトラブルがあって鷹條との交際に発展した経緯もあって、とても心配されてしまうのだ。

 そんな思いやりも、大事にされていることもとても嬉しいので、亜由美は心配をかけないためにもこまめに連絡をするようにしていた。

 自宅に帰ってきたことと、今日はコミックスの新刊を入手したので読むのが楽しみだと鷹條にメールを送っておく。

 そしてソファに座って楽しみにしていたコミックスを開いた。

 前巻はいいところで終わってしまっていたから続きがとても気になっていたのだ。

 両片想いだったのが、もしかして? とお互いの想いに気づいたところで終わっていた。わくわくしながら亜由美はページを開く。

 なんとなくお互いの気持ちに気づきながらも伝えることができず、素直になれないヒロインとヒロインをどこまでも溺愛したいヒーローにきゅんきゅんしながら読み終わった。
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