お願いだから、好きって言って。
.*˚ Prolog ˚*.

 きっかけは、些細なことだった。



「双葉さんって、暗くてノリ悪くない?」



 私には聞こえないように配慮されたようなその内緒話は、残酷にも私の耳に入ってきた。


 その日から、友達だと思っていた子から上手く避けられ、次第に孤立していった。


 最初は話しかけても遠慮がちに「あー……ごめん」と返され、逃げるように去っていかれたけど……

 それも段々と、話しかけてもクラスの女子全員に無視されるようになった。




 そして、私の存在を否定するような内緒話を、私に聞こえるようにされ始め、薄々気付き始めていたそれは確信に変わる。


 ――ああ。私、いじめられてるのか。


 クラスの男子も、私がいじめられてること、分かってるみたい。

 だけど、そんな事実を認めたくなくて、私はずっと本を読んでいた。



 私はいじめられてるんじゃない、自分の好きな読書をしてるだけ。

 ――そう自分に言い聞かせながら。




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